会理念

暮らしのなかに森林の文化を



何千年にわたって森林は人間の暮らしを支えつづけてきた。

森は水をつくり、大気を浄化し、動物たちの暮らしを守り、人間たちが生存するために数多くの資源を提供してきた。
そして人間たちは森のなかに、大いなる自然をみつづけてきた。
現在私たちの暮らしのなかからその森林文化が消え去ろうとしている。

地球的な規模ですすむ森林の崩壊と砂漠化、日本においても自然を無視した開発と山村社会の疲弊は、森林に危機的な荒廃をもたらしてきている。

いま私たちは、様々な思いを込めて、森林と共存する社会をつくりだす行動を起こそうと思う。
それは、 鉄とコンクリートと石油に支えられた文化から、自然と共生する文化への転換であり、経済合理主義の社会から自然と暮らしを尊重する社会への転換である。

森林文化は長い間、自然の力と、自然に働きかける人間たちの労働が均衡を保つことによって支えられてきた。
しかし今そのバランスは崩れ去った。木材需要の三分の二を輸入材に頼り、木材価格の低迷がつづくなかで、 森林は人間たちの日々の働きかけを失って放置され、荒れるにまかされている。

その一方で経済効率を追うだけの開発が進んでいく。いままでは山村の社会も自然も衰退、荒廃しつくしている。

自然を愛し、自然との共生を願う人々と、自然を守り育てる人々が手をとりあって、森林と共生できる社会を つくりだしていくことは出来ないだろうか。

私たちはここに全国を縦断する「森林フォーラム」を開催し、継続的に発展させていくことを呼びかける。
現在社会の大きな転換をめざして森林のなかで働く人々、そして森を愛し、
森と共生する暮らしを願う人々に「森林フォーラム」への参加を訴える。

1989年12月16日

発足時賛同者

畦倉 実:元朝日新聞社記者
猪爪 範子:地域総合研究所
内山 節:哲学者
加倉井 弘:元NHK解説委員
木原 啓吉:千葉大学名誉教授
柴田 敏隆:フリーランス・コンサーベイショニスト
杉本 一(財):森とむらの会専務理事/元朝日新聞論説委員
土田 武史:早稲田大学教授
富山 和子:評論家/立正大学名誉教授
藤本 昌也:建築家/現代計画研究所(株)代表
本間 義人:元毎日新聞社編集委員/元九州大学教授
三井 昭二:三重大学教授
森 巌夫:明海大学教授
湯川 豊:元文芸春秋社出版局長
森田 稲子:(株)第一プランニングセンター
(敬称略50音順)