白山を表と裏から眺めてみよう/森林林業視察研修
「石川・岐阜」の旅
原生のブナ・トチ・ミズナラの大樹は圧倒的な存在感。ドロの木もたくさんあり、綿毛が風に乗り、ふわふわと舞っていた。
森全体と白水湖を覆う静寂感は山の深さと神秘をかもし出していた。
よくぞ作ったと思える急傾斜地にうねうねと施設されていた。秋の紅葉時の見事さが充分うかがえる。そんな一角に展望台があった。白山連峰が午前の光を浴び目前にそびえ立って迫っているようだった。
石川森林管理署の治山事業地は手取川の源流部の白山直下、湯の谷にある。
マイクロバスで工事道路を登ること20分。
標高1600m辺りで説明を聞く。
昭和の初期大水害を契機に治山工事として着手して以来、今もなお続けられている大工事だ。
火山と地震の影響で不安定な地層となり、風化と浸食に極めて弱くなっているとのこと。
年間10cm迫り出しが生じ、まさに「山が動く」状態だという。
自然の力に立ち向かっている人間の力の何と小さくむなしいことか。
現場の方のそんな本音も聞こえた。
自然の営みに人はどう対していけばよいか熟慮の時期に来ている。
周辺散策にて白山展望台へ。
急な斜面を登ること25分。
山頂にかかる雲がゆっくりと流れ、御前峰、大汝峰が少しずつ姿を現す。
今回のテーマ「白山を表と裏から見よう」はこれにて達成。東は大白川から西日に浮かぶシルエットとして。北は白山スーパー林道の展望台から御前峰、大汝峰の姿を目の前に。東南からは市の瀬の白山展望台で白山連峰を流れる雲の間から。あまり標高の高いところには行かなかったので、
白山固有の高山植物には出会えなかったが、ゴゼンタチバナ、コゴメグサ、ウメバチソウ、ヤマトリカブト、ツルニンジン、キリンソウ、サラシナショウマなどを眼にすることができた。
周辺の人々の暮らしと信仰を知見するために白山山麓民芸資料館にはいる。
多くの萱葺き民家を移築しそこにかつての暮らしを展示し、周辺の畑などで実際の作物の栽培など、実体験できる素朴さなどじっくりその場で過ごしたくなるような展示方法だと感じた。